ホーム・アンド・ジャーニー

ふるさとの珠洲(すず)と、そこから出てそこへと帰る旅にまつわるあれこれ。

エッセイ

東北からのアイム・ホーム

(カッパのは話の続きはちゃんと書いています。まとまったら、また後日こちらに載せます。家に帰ったのにそのままカッパの話を続けるのもあれだったので、帰宅してのことを簡単に。) 家に帰るまでが遠足だとよくいう。 以前、旅の準備が好きだ、あれこれと…

東北旅ショートエッセイ「5日目:青森の悲しさとかわいさと」

青森の人たちはみな、うら悲しい目をしている。 かっこつけて文学的な表現をしたいわけではなく、実際そう見えるのだからしかたがない。旅人らしく彼らに話を振ってみても、みな申し訳なさそうに一言なにかを返すだけで、話は長く続かない。たぶん迷惑してい…

東北旅ショートエッセイ「4日目:青森に今度は西行と鴨長明が現れた」

ぼくがちょうど五所川原から青森駅に着いて、ホテルにチェックインしようと向かっているとき、夕食を済まそうと思い立ってガイドブックを広げると、よさそうなお店が近くにあることがわかった。「マロン」という喫茶店で、名物はジャマイカンカレーらしい。…

東北旅ショートエッセイ「3日目:青森にあらわれた三島由紀夫」

この旅の合間の時間に読むために、ぼくは1冊の本を持ってきた。三島由紀夫の『小説家の休暇』(新潮文庫)という本だ。あまりヘビーなものでは気が滅入るし、長い小説だとその世界とこの旅の世界とがちぐはぐになるし、なにかちょうどいいものはないかと、山…

東北旅ショートエッセイ「2日目:秋田の味」

秋田にはずっと興味があった。その文化に、である。 なまはげに代表されるような伝統風俗、いぶりがっこやきりたんぽなどの食べ物、土方巽の舞踏(写真集『鎌鼬』)、そして民謡。これらの文化は、ぼくの中ではひとくくりにつながっていて、ひとつの大きな「…

東北旅ショートエッセイ「1日目:山形と五月雨」

昨日の夜からむっとした空気が街を覆っていて、なんとなく過ごしにくかった。明日は雨かもしれない、と思ったらやはりそうで、昼過ぎから小さい雨が地面を湿らせはじめた。それはぼくが県中部の村山駅を出て、最上川に北上しているくらいのときだった。 そこ…

思い出はどんな味

東北旅出発前として、昨日「知らないところに向かって」と題した記事を書いたが、実はまだ東北には達していない。石川から向かうとなると、その前に新潟を通らなければならないからだ。 通るというか、ぼくはここでまず1泊した。 新潟は、ぼくが大学生として…

知らないところに向かって 〜東北旅出発前〜

予定を立てるのが好きだ。 この日にはこことここに行く、というような目星はみんなつけるだろうし、行きたいところのだいたいの時間から、電車の乗り降りの細かい時間まで。それを決めて、紙に記録する。以前は時刻表とにらめっこだったが、今ではスマホのア…

インドの3K その2「汚い」

関係ない話から入るが、ぼくはお風呂に入っても基本的に石鹸を使わない。湯船にしっかり浸かって、においそうなところは素手で擦るやり方をしている。そういう人たちがいることは知っていたが、験しに自分もやってみたら、存外の気持ち良さがあった。それで…

インドの3K その1「くさい」

インドは様々な匂いで彩られている。 旅した者は、その時々を思い出すとき、匂いも同時に思い出すだろう。 ふらっと入ったカレー屋の香辛料の匂い。道端のラッシー屋で焚かれているお香の匂い。あるいは路地裏の霊廟で焚かれているお香かもしれない。そして…